仮想通貨の両替機にコインを預けておく事で手数料の一部やサービスが独自で発行したコインを稼ぐ事が出来るサービスがビットコインやイーサリアムを買った後のさらなる投資として人気を集めています。
私もUniswapに始まり、Pancakeswap等いろいろ触っていましたが、コインを預けておいている間にインパーマネントロスという損失が発生するという事を知りませんでした。
- インパーマネントロスとは
- 何故発生するのか?その理由
- インパーマネントロスを考慮して、結局どんな通貨ペアを選ぶべきか
を初心者向けにかみ砕いて解説していきたいと思います。
インパーマネントロスとは
DeFi(DEX)にお金を預け入れる事を流動性の提供といいます。 両替機という運営に参加するので手数料の一部が還元されたりそれとは別で独自トークンの報酬も受けられる事で人気を得ています。
流動性を提供した際に気を付けなくてはならないのがインパーマネントロスという損失です。 (略してインパロスという方も)
インパーマネントロスについて箇条書きにすると、
- 流動性を提供(入金)する時と出金する時で、預けた時とコインの枚数が異なって返ってくる
- 預け入れした二つのコインの価値は変動するので、価格変動によって損失が出るらしい
- 損失の計算方法は難しい
- PancakeswapやBeefyfinanceなら、YieldWatchで簡単に調べる事が出来る
- 手数料による利益も得られるのでそこまでシビアな話じゃない
多くの人が理解しているのはこの程度で、結論から言えば
とだけ考えておけば良いです。
しかし、よく考えたら不思議です。
価格変動が起きると何故、提供者は損をするのでしょうか?
アービトラージトレーダーの仕業説
5ちゃんねるの「分散型スレッド」でもテンプレートとして紹介されているのが、世界最大の仮想通貨取引所であるBinance(バイナンス)がまとめているバイナンスアカデミーの記事です。
仮想通貨を流動性プールに提供した時に、デポジットしたトークンの価格が入金時と比べて変動した時の損失を変動損失と呼びます。
こちらを元に、かみ砕いて解説をします。(※例ではDAIを用いていますがUSDTの方が視覚的に$のステーブルコインである事がより分かりやすいので変更しました)
第一章:提供時のデータ
まず、アリスさんは1ETH=100USDTの時に、1ETHと100USDTのペアを入金しました。
- 流動性の提供をする際における二つのコインの価値の比率は1:1である
- プール全体における提供率が10%だった場合、プール全体には10ETHと100USDTがあります
- 重要なのは、アリスさんは1ETHと100USDTを保有していたという事です。(合計200USDT)
第2章:出金した時のデータ
その後、価格変動により1ETH=400USDTに上昇したとします。
バイナンスアカデミーの解説によると価格変動が起こりアービトラージトレーダーによってプール全体には、5ETHと2,000USDTがあると解説されています。
- 出金時も1:1で返ってくるのでプール全体の10%=0.5ETHと200USDTが返ってくる
- 0.5ETH=200USD+200USD=合計400USDTである。(ETHが上昇したので増えている)
- しかし流動性の提供をしなければどうでしょう? 1ETH+100USDT=500USDTを持っていた事になるので100USDT分損をした事になります。
これがインパーマネントロスです。
あくまでも預けたお金に対するロスの計算なので「報酬分」は計算に含まれていません。
ですので本当に預けなかった方が得だったのか?というのは、
報酬-インパーマネントロス=預けた事による利益
となります。 ロスが出てもそれを上回る報酬を受け取っていれば、ウォレットで眠らせておくよりも預けた方がお得だったという事にちゃんとなります。
なぜプール全体の価値が下がったのかをフカボリ
なんとなくわかった気はしたのですがやはり疑問が残ります。
価格変動が起こり、アービトラージトレーダーによってプール全体が5ETHと2000USDTになりました。
という状況についてです。 この記事では「アービトラージトレーダーによって」という答えが明記されていますが、その他の多くの解説文では「価格変動が起こりプール全体が5ETHと2000USDTになりました」と肝心な部分を端折っているものが多かった為、私を混乱させたのです。
- 価格変動がおきようがプール全体は10ETH+1000USDT=5000USDTの価値を保有しているはずなのに、
- 価格変動が起きたら何故4000USDTの価値しか持っていないのか?
という事が最も重要なミステリーなのです。
幸いバイナンスアカデミーでは「アービトラージトレーダーによって」というくだりがあったので私がしっかりお教えします。
損失の犯人、アービトラージトレーダーって何者?
アービトラージとは、取引所によって起きる僅かな価格差を利用して利益をあげるトレード手法の事です。
まず前提として、取引所によってコインのレートは微妙に違います。 設定された手数料だけでなく、秒単位で変動する価格の相場データを取得するスピードの違い等も考えられます。
- 取引所AではETHが162000円で買える
- 取引所BではETHが162100円で売れる
こんな状況を見つけたアービトラージトレーダーは取引所Aで大量にETHを仕入れて、取引所Bで大量に売る事で差額で利益を得るというわけです。
DeFi(DEX)におけるアービトラージトレーダーの動きをバイナンスアカデミーではこう表現しています。
ETHの高騰中にアービトラージトレーダーは、レートが現在の価格を反映するまで、DAI(USDT)をプールに追加し、ETHをプールから取り除きます。
つまり、時系列でいうと
- ETHが4倍に跳ね上がった事をアービトラージトレーダーはいち早く察知
- DEX(両替機)でレートが反映される前に、100USDT:1ETHで両替しまくり
- その間プール全体が損をする
というわけです。 これは納得がいく説明です。
両替機なのだから両替によってバランスが崩れるから説
もう一つ別の解説記事では、
- 両替機なので人々が両替をする事でプール内の枚数の割合が変わる
- 価格の変動が起きる事で損をする
という内容で、最初はこちらの方がより理屈としては腑に落ちるなと思っていました。
ただこの場合、枚数が偏っていた方の価格が上昇したら得をする事になるので違うのかなと。
インパーマネントロスの割合一覧表
理由を考えるとインパーマネントロスは、両替する人やアービトラージトレーダー次第なのではと思いましたが、数値がしっかりと出ていました。
価格変動の割合 | 損失 |
---|---|
1.25倍 | 0.6% |
1.50倍 | 2.0% |
1.75倍 | 3.8% |
2倍 | 5.7% |
3倍 | 13.4% |
4倍 | 20.0% |
5倍 | 25.5% |
例えば2倍の場合、片方のコインだけが2倍になったという意味です。 どちらも2倍になれば割合は等倍です。
預けるべきコインのペアはズバリこの組み合わせ
では、インパーマネントロスがある事を知ったうえでどんな流動性の提供をすると良いのかフカボリしていきましょう。 まず、主に3つのコインの種類に分別します。
- USDTやUSDC、DAIなど、法定通貨と連動したステーブルコイン
- BTCやETH、BNBなどの主要コイン(wETH等の主要コインと連動したステーブルコインを含む)
- KEBABやPIZZAなどの独自コイン(報酬を兼ねたコイン)
組み合わせるとインパーマネントロスのリスクの低い組み合わせ順位は以下のようになります。
コインのペア | 備考 | |
---|---|---|
1位 | USDT-DAI | どちらも$の価格なので変動率0 |
2位 | BTC-ETH | BTCが上がるとETHも上がりがち |
3位 | BTC-USDT | BTCが上がってもUSDTがあまり変わらないので差が開いていく |
4位 | BTC-KEBAB | 謎コインは基本不安定で価格変動も激しいのでリスクが高い。 |
5位 | USDT-KEBAB | 4位とあまり変わらないが動きが無いステーブルコインよりもBTCとのペアの方がまだリスクは少ない |
6位 | KEBAB-PIZZA | 謎コイン同士は全く予想がつきません |
ここで3つのポイントがあります。
- 一見価格変動の少ないステーブルコインなら何でも良いと思いがちですが、ステーブル同士の組み合わせ以外は、実は主要コイン同士の方がリスクが少ない
- インパーマネントロスのリスクが少ないのは確かにステーブルコイン同士の組み合わせだが、BTCやETHの価格が上昇した時の恩恵を受けられない方が損失だ。
- リスクの高い組み合わせの方がAPY(報酬)は高く報酬が上回れば勝ちなので一概に言えない。
以上がインパーマネントロスを考慮したDeFi(DEX)への預け方です。
以上、インパーマネントロスとは?徹底解説でした。 間違っている点や補足ありましたら是非コメントかツィッターでDMをお寄せください。 ツィッターでもこまめに情報発信しています。ぜひフォローよろしくお願いします。 @increasecrypto
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